聖なる舞台「お水取り」 東大寺(産経新聞)

【麗し大和】(10)

 紅蓮の炎と聖なる水が春を呼ぶ古都の風物詩、東大寺二月堂のお水取り(修二会、しゅにえ)。天平期の752年に始まり、一度も絶えず1259回目を迎えたというからすごい。練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる僧侶を二月堂(国宝)へと導くお松明(たいまつ)が有名だが、だいご味はそのあと、お堂の中にあった。

 「なーむかーん(南無観)」。朗々と続く声明にジャランと鈴の音(ね)、ブォーとほら貝が鳴り、ガタンガタンと木靴を踏みならす音。バーン!と激しい響きに目をこらすと、ひざを板に打ち付ける荒行、五体投地が始まっていた。「水とりや氷の僧の沓(くつ)の音」と芭蕉は詠んだけれど、ろうそくに照らされた内陣はさながら“聖劇”の舞台。格子越しに参拝者もその異空間を体感できる。

 そもそもお水取りは「悔過会(けかえ)」といい、本尊の十一面観音に罪をざんげして1年の平和や人々の幸せを祈る法会(ほうえ)だ。神仏習合を今に残す不思議な行事でもある。

 練行衆は約1カ月に渡って厳しく精進潔斎(しょうじんけっさい)。災害や暖冬にも「ふと自分のせいかなとも思う」と話す進行役の堂司、上司永照師の言葉に頭が下がる思いがした。平安末期の平氏による焼き打ちも二月堂が焼失した江戸時代も、連綿と受け継がれてきた行事には「やらねばならぬ」という覚悟が見える。

 12日は華やかな籠たいまつが上がり、若水をくむ「水取り」、火の行「達陀(だったん)」などが続く。15日未明の満行を見届けて、ほっとしたように春が奈良にやってくる。(文 山上直子、撮影 大塚聡彦)

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